一番こわいものはテロリストでも大不況でもなく、いつの間にか私たちがいろいろなことに疑問を持つのをやめ、気づいた時には声すら自由に出せない社会が作られてしまうことの方かもしれません。(p.213)
国は一、二度の政権交代では変わらない。国民の判断で、その洗礼を繰り返し受けることで初めて、政治も社会も成熟してゆくのです。本当の絶望は、国民が声を上げなくなった時にやってくる。(p.215)
大学に入って学位でも取らなければ一生ワープアになってしまうという強迫観念から、学資ローンをめいっぱい借りて大学に進学したものの、もはや学位ぐらいでは満足な職は見つからなくなっており、いつのまにかローンも利率が変更されていて支払いきれなくなり、いつのまにか変わっていた法律によって自己破産しても学資ローンは免除されずに一生多大な負債を背負わざるを得なくなってしまう。詐欺まがいの方法で貧困層から新兵をリクルートし続ける軍。発展途上国よりも安い人件費ということで脚光を浴びる囚人労働力。国民皆保険制度がいつの間にか選択肢からまったく排除され、結局オバマはアメリカをチェンジできなかったと落胆するリベラル派の人々。
狭いテーブルの上に居続けられる人々はごくわずかだ。少しでも足元が狂って奈落の底に落ちてしまったら、そこから這い上がるすべは無い。日本だってそんな社会がもうすぐそこまでやってきているような気がする。